型枠工事のKY例文|組立・解体の工程別に15例
目次
型枠工事のKY活動は、工程によって危険の種類がまったく変わります。加工場での切創、建込み時の墜落、支保工の組立てでの倒壊、打設中の変形、解体時の落下物。同じ「型枠工事」でも、朝に話すべきことは日によって別のものです。
この記事では、型枠工事のKY活動の例文を、工程別に15例並べます。あわせて、例文をそのまま書き写すと形だけになる理由と、自分の現場の言葉に直す方法を書きます。作業主任者の選任や点検の義務など法令上の要求は工事の内容で変わります。自社の工事に何が適用されるかは、所轄の労働基準監督署に確認してください。
結論:型枠のKYは「その日どの工程にいるか」で決まる
型枠工事で危険が集中する場面は、工程ごとに分かれています。まず自分たちが今日どこにいるかを決めると、書く内容が自動的に絞られます。
| 工程 | 主な危険 |
|---|---|
| 加工・搬入 | 切創、玉掛け・荷下ろし、資材の転倒 |
| 墨出し・建込み | 開口部からの墜落、資材の倒れ、挟まれ |
| 支保工の組立て | 転倒・倒壊、高所作業、部材の落下 |
| 打設中 | 型枠の変形・はらみ、ポンプ車の圧送、感電 |
| 解体 | 落下物、上下作業、釘の踏み抜き、剥離時の跳ね返り |
| 搬出・片付け | 通路の閉塞、積み込み時の荷崩れ |
同じ現場でも、この6つで話す内容が変わります。朝のKYで「型枠工事」とだけ書くと、以降の欄が一般論になります。工程まで書くと、危険が具体的に出てきます。
型枠のKY例文【加工・搬入】
例1:パネルの加工(丸のこ使用)
潜む危険:丸のこで薄い材を切るので、材が跳ねてキックバックが起き、手を切る/切粉が飛ぶので、目に入る/材を押さえる手が刃に近いので、指を切る
重点項目:キックバックによる切創
対策:安全カバーの作動を作業前に確認する。材は必ず固定してから切る。刃の延長線上に体を置かない
行動目標:カバー確認、刃の線に立たない
指差呼称:安全カバー、作動、ヨシ
例2:型枠材の荷下ろし
潜む危険:束ねた型枠材が滑るので、玉が外れて荷が落ちる/荷の下に人が入ると、下敷きになる/荷台から下りるときに、足を踏み外して転落する
重点項目:吊り荷の落下
対策:2点吊りで角にあて材を入れる。合図者以外は旋回範囲に入らない。荷を地切りして一度止め、荷の傾きを見てから上げる
行動目標:吊り荷の下に入らない
指差呼称:吊り荷の下、人なし、ヨシ
例3:資材の仮置き
潜む危険:立てかけた型枠が風であおられるので、倒れて当たる/1か所に集中して置くので、スラブに荷重がかかる/通路が狭くなるので、運搬時につまずく
重点項目:立てかけた型枠の転倒
対策:立てかけず平置きにする。やむを得ず立てる場合は必ず結束する。置き場を先に決め、通路は900mm確保する
行動目標:立てかけない、置き場から出さない
指差呼称:置き場、通路、ヨシ
型枠のKY例文【建込み】
例4:壁型枠の建込み
潜む危険:建て込んだ型枠が自立しないので、倒れて挟まれる/サポートを取り付けるまで不安定なので、風で動く/足元に金物が散らばるので、つまずく
重点項目:建込み中の型枠の転倒
対策:1枚建てるごとに仮サポートを入れる。倒れる側に人を立たせない。金物は都度、箱に戻す
行動目標:1枚ごとにサポート、倒れる側に立たない
指差呼称:サポート、取付け、ヨシ
例5:開口部まわりの建込み
潜む危険:開口部の養生を外して作業するので、踏み外して墜落する/開口から下へ物を落とすと、下の作業員に当たる/手元が暗いので、足元が見えない
重点項目:開口部からの墜落
対策:養生を外す前に安全帯をかける。外した養生は作業終了時に必ず戻す。開口の直下は立入禁止とする
行動目標:外す前にかける、終わったら戻す
指差呼称:親綱、フック、ヨシ
例6:柱型枠の建込み(クレーン使用)
潜む危険:ユニット化した柱型枠が重いので、振れて挟まれる/建て起こし時に足元が狭いので、バランスを崩す/介錯ロープを持つ手が荷に近いので、巻き込まれる
重点項目:吊り荷の振れによる挟まれ
対策:介錯ロープを使い、荷から2m離れて誘導する。据付け位置に人を立たせない。合図は1名に決める
行動目標:荷から離れて誘導、合図は1人
指差呼称:介錯ロープ、位置、ヨシ
型枠のKY例文【支保工の組立て】
型枠支保工の組立てと解体は、作業主任者を選任して、その指揮のもとで行うことが定められている作業です。KYの場でも、作業主任者が誰かを全員が分かっている状態にしておきます。
例7:パイプサポートの建て込み
潜む危険:サポートのピンが差し込まれていないと、荷重で抜けて崩れる/水平つなぎを入れる前は不安定なので、倒れる/上向き作業が続くので、首と腕が疲れて手元が狂う
重点項目:支保工の倒壊
対策:サポートのピンは差込みを指差で確認する。水平つなぎは所定の高さで確実に入れる。作業主任者が段階ごとに確認する
行動目標:ピン確認、つなぎを飛ばさない
指差呼称:サポートピン、差込み、ヨシ
例8:高さのある支保工(脚立・作業台使用)
潜む危険:作業台の手すりを外すので、墜落する/乗ったまま移動すると、転倒する/上で部材を受け取るときに、バランスを崩す
重点項目:作業台からの墜落
対策:手すりは外さない。移動時は必ず降りる。部材は下から手渡しせず、ロープで上げる
行動目標:乗ったまま動かさない
指差呼称:手すり、あり、ヨシ
例9:段取り替え(他職との輻輳)
潜む危険:他職と同じ場所で作業するので、互いに物を落として当たる/通路が資材でふさがるので、避けられない/合図が通じず、動き出しがぶつかる
重点項目:他職との輻輳による接触
対策:作業間連絡調整でエリアと時間を分ける。境界にコーンを置く。開始前に双方の職長が立ち会う
行動目標:決めたエリアから出ない
指差呼称:境界、コーン、ヨシ
型枠のKY例文【打設中】
コンクリートの打設中は、型枠支保工に異常がないかを見る人を置くことが求められます。KYの段階で「誰が見るか」を決めておくと、当日に空白になりません。
例10:打設中の型枠監視
潜む危険:打設の荷重でサポートが沈むので、型枠がはらんで崩れる/打継ぎ部に荷重が集中するので、変形する/監視者が他の作業を兼ねると、見落とす
重点項目:打設中の型枠の変形・倒壊
対策:監視者を専任にし、他の作業を持たせない。異常があれば直ちに打設を止める合図を決める。サポートの沈みを打設前後で見る
行動目標:監視者は持ち場を離れない
指差呼称:サポート、沈みなし、ヨシ
例11:ポンプ車の圧送(筒先)
潜む危険:ホースが跳ねるので、体に当たる/閉塞が解けた瞬間に圧が抜け、生コンが飛ぶ/ホースを引く方向に配筋があるので、足を取られる
重点項目:ホースの跳ねによる激突
対策:筒先は2名で保持する。閉塞時は圧を抜いてから触る。移動の合図をポンプ車のオペレーターと事前に決める
行動目標:筒先は1人で持たない
指差呼称:合図、通じている、ヨシ
KY活動表(危険予知活動表・4ラウンド法)
朝のKYで、危険のポイント・重点・対策・行動目標を1枚に書くためのKY活動表です。例文図書館の例文をコピーして、そのまま貼り付けて使えます。登録不要です。
Excelを見る・ダウンロード型枠のKY例文【解体】
例12:スラブ型枠の解体
潜む危険:外した型枠材が落ちるので、下の作業員に当たる/剥離した瞬間に材が跳ねるので、顔に当たる/足場板の上に材を仮置きするので、通路が狭くなり転倒する
重点項目:上下作業による落下物
対策:解体箇所の直下をコーンとバーで立入禁止にし、合図者を1名置く。剥離は体を材の下に入れずに行う。仮置きは決めた場所のみ
行動目標:直下に人を入れない
指差呼称:直下、立入禁止、ヨシ
例13:支保工の解体
潜む危険:サポートを外す順番を誤ると、残りに荷重が集中して崩れる/サポートが倒れてくるので、挟まれる/外した部材を投げると、当たる
重点項目:解体順序の誤りによる倒壊
対策:作業主任者が順序を指示し、その順でしか外さない。外したサポートは寝かせて仮置きする。部材の上げ下げは手渡しかロープで行う
行動目標:指示された順番以外で外さない
指差呼称:解体順序、確認、ヨシ
例14:釘・金物の処理
潜む危険:釘が出たままの材を踏むので、踏み抜く/釘抜き時に材が滑るので、手を打つ/金物が散らばるので、つまずく
重点項目:釘の踏み抜き
対策:釘は解体したその場で抜く。抜けない材は釘を折り曲げる。回収箱を作業場所の近くに置く
行動目標:その場で抜く、後回しにしない
指差呼称:足元、釘なし、ヨシ
例15:解体材の搬出
潜む危険:バラの材を積むので、荷崩れして落ちる/リフトの昇降路に体を入れると、挟まれる/受け側の待機位置が昇降路の真下なので、落下物が当たる
重点項目:荷崩れによる落下
対策:材は必ず結束してから積む。昇降中は昇降路に手足を入れない。受けは昇降路の直下を避けた位置で待つ
行動目標:束ねてから積む、直下で待たない
指差呼称:結束、ヨシ
例文をそのまま書き写すと効かない理由
ここまで15例を並べましたが、そのまま書き写すと、翌日から形だけのKYになります。理由は3つです。
| 理由 | 起きること |
|---|---|
| 場所が入っていない | 「型枠が倒れる」で終わり、誰も自分の作業と結びつけない |
| 今日の条件が入っていない | 風、雨、人数、他職の有無が反映されない |
| 決めた人がいない | 「立入禁止にする」で終わり、誰が張るか決まらない |
直すのは簡単です。例文の作業内容の欄に、今日の場所・人数・使う機械を入れ、対策の欄に「誰が」を足す。この2か所だけで、借り物が自分の現場の話になります。
- 前:「解体箇所の直下を立入禁止にする」
- 後:「3階東 X5〜X7の直下を、8時までに◯◯がコーンとバーで囲う」
よくある質問
KYの危険は何項目出せばよいですか
3〜5項目が目安です。中身のある3項目のほうが、薄い5項目より役に立ちます。全部の欄を埋めることを目的にすると、毎日同じ言葉が並びます。
重点項目を2つ書いてもよいですか
1つに絞るのが基本です。2つ以上書くと、対策も行動目標も分散して、結局どれも実行されません。その日いちばん重いものを1つ選ぶのがKYの役割です。
毎日同じ作業が続くときはどうしますか
作業が同じでも、条件は毎日変わります。風、気温、人数、他職の有無、資材の残量。条件を1つ変えて書くと、危険の出方が変わります。それでも詰まるときは、前日のヒヤリハットを使ってください。
型枠支保工の作業主任者はKYに必ず参加しますか
法令でKYへの参加が定められているわけではありませんが、組立てと解体の作業は作業主任者の指揮のもとで行うことになっているため、その日の手順を決める場に居ないと指揮ができません。実務上は参加しておくのが自然です。
KY用紙は保存義務がありますか
KY活動の記録そのものに一律の保存義務は定められていません。ただし、災害が起きたときの記録として意味を持つため、工事が終わるまでは保管している現場が多いです。保存期間の考え方は工事書類の保存期間にまとめています。
まとめ
型枠工事のKY活動は、加工・建込み・支保工・打設・解体・搬出の6つの工程で危険の種類が変わります。まず今日どの工程にいるかを決めると、危険の欄が具体的に埋まります。
15の例文は下敷きとして使えますが、そのまま書き写すと形だけになります。作業内容の欄に今日の場所・人数・使う機械を入れ、対策の欄に「誰が・いつまでに」を足す。この2か所を直すだけで、借り物の文章が自分の現場の話に変わります。
KY活動表(危険予知活動表・4ラウンド法)
朝のKYで、危険のポイント・重点・対策・行動目標を1枚に書くためのKY活動表です。例文図書館の例文をコピーして、そのまま貼り付けて使えます。登録不要です。
Excelを見る・ダウンロード