電気工事のKY活動の例文|感電と墜落を防ぐ15例
目次
電気工事のKY活動は、危険が目に見えないという点で他の工種と違います。足場の穴や吊り荷は目で分かりますが、電線に電気が来ているかどうかは、検電するまで分かりません。しかも作業そのものは、脚立や天井裏など、墜落の条件がそろった場所で行われます。
この記事では、電気工事のKY活動の例文を、仮設電気・配管配線・盤の据付・結線と受電・撤去の15例に分けて並べます。あわせて、「停電作業のつもりが活線だった」が起きる流れと、例文を自分の現場の言葉に直す方法を書きます。停電作業や活線作業の手順は法令で定められています。自社の作業に何が適用されるかは、所轄の労働基準監督署に確認してください。
結論:電気工事のKYは「感電」と「墜落」の2本立てで考える
電気工事で起きる災害は、大きく2つに分かれます。KYの重点項目も、ほとんどがこのどちらかに入ります。
| 分類 | 起きる場面 |
|---|---|
| 感電 | 停電したつもりの充電部、仮設の漏電、活線近接作業、湿潤な場所 |
| 墜落・転落 | 脚立、可搬式作業台、天井点検口、ケーブルラック上 |
そのうえで、電気工事に特有の事情が1つあります。作業する場所が、他職の工程に合わせて次々と変わることです。今日は天井裏、明日は外部のキュービクル、明後日は仮設盤。場所が変われば危険も変わるので、KYの作業内容の欄に「どこで」を書くことが、他の工種以上に効きます。
電気工事のKY例文【仮設電気】
例1:仮設分電盤の設置
潜む危険:接地が不十分だと、漏電時に感電する/屋外に置くので、雨水が入って絶縁が落ちる/設置場所が通路脇なので、車両に当てられる
重点項目:接地不良による感電
対策:接地抵抗を測定して記録する。盤は雨がかりを避けた位置に置き、扉は常時閉める。車両動線から離すか、ガードを設ける
行動目標:測って記録してから通電する
指差呼称:接地、測定済み、ヨシ
例2:仮設ケーブルの敷設
潜む危険:通路を横断するので、台車に踏まれて被覆が破れる/被覆が破れたまま濡れると、漏電する/引っかかって転倒する
重点項目:被覆の損傷による漏電
対策:横断部は保護カバーか架空配線とする。毎朝、損傷の有無を見る。仮設は床に直置きしない
行動目標:床をはわせない
指差呼称:横断部、保護、ヨシ
例3:漏電遮断器の作動確認
潜む危険:テストボタンを押さずに使い続けると、いざというときに動かない/テスト中に他の作業が停電し、機械が急停止する/盤を開けて作業するので、充電部に触れる
重点項目:充電部への接触
対策:テストは決めた曜日に行い、停電することを事前に周知する。盤を開ける作業では絶縁用保護具を使用する
行動目標:止める前に声をかける
指差呼称:周知、済み、ヨシ
電気工事のKY例文【配管・配線】
例4:天井内の配線(脚立使用)
潜む危険:上向き作業で体が反るので、脚立上でバランスを崩す/天井点検口から落ちる/切粉や埃が目に入る
重点項目:脚立からの墜落
対策:脚立は開き止めをかけ、天板には立たない。2m以上になる箇所は可搬式作業台に替える。保護メガネを使用する
行動目標:天板に乗らない、届かないなら台を替える
指差呼称:開き止め、ヨシ
例5:ケーブルラック上での作業
潜む危険:ラックに足を乗せると、外れて墜落する/高所作業車の旋回範囲に人が入ると、挟まれる/上から工具を落とす
重点項目:ラックへの乗り込みによる墜落
対策:ラックには乗らない。高所作業車の作業半径を明示し、地上に監視者を置く。工具は落下防止のひもを付ける
行動目標:ラックに乗らない
指差呼称:作業半径、人なし、ヨシ
例6:既設建物での配管(他職と輻輳)
潜む危険:既設の配線が生きているので、誤って切断すると感電する/内装のボード張りと同じ場所で作業するので、物を落とし合う/既設の吊りボルトが腐食していて、体重をかけると落ちる
重点項目:既設配線の誤切断による感電
対策:既設配線は図面と現物を照合し、系統が分かるまで切らない。判断がつかないものは検電してから触る。作業間連絡調整で時間を分ける
行動目標:分からない線は切らない
指差呼称:検電、無電圧、ヨシ
例7:屋外の配管(雨天後)
潜む危険:地面が濡れているので、漏電時に感電しやすい/掘削部に水が溜まり、足を取られる/既設の埋設物に当たる
重点項目:湿潤な場所での感電
対策:屋外の電動工具は漏電遮断器を通し、二重絶縁のものを使う。絶縁性のある履物を使用する。埋設物は事前に試掘で確認する
行動目標:濡れた場所では工具を直接床に置かない
指差呼称:漏電遮断器、通電、ヨシ
電気工事のKY例文【盤の据付・結線】
例8:分電盤・制御盤の搬入据付
潜む危険:盤が重く重心が高いので、倒れて挟まれる/段差でリフトから落ちる/扉が開いて指を挟む
重点項目:盤の転倒による挟まれ
対策:扉を養生テープで固定してから運ぶ。段差はスロープを設ける。据付け位置に人を立たせず、2方向から支える
行動目標:倒れる側に立たない
指差呼称:扉、固定、ヨシ
例9:停電作業(高圧)
停電して行う作業では、開閉器の施錠や表示、検電、短絡接地といった手順が定められています。KYの場でも、この順番を全員で言葉にしておきます。
潜む危険:他の人が誤って投入すると、通電して感電する/停電したと思い込んで検電を省くと、充電部に触れる/コンデンサに電荷が残っていて、放電時に感電する
重点項目:誤投入・検電省略による感電
対策:開閉器を施錠し「作業中・投入禁止」の表示をする。鍵は作業責任者が持つ。検電と短絡接地を行ってから作業に入る
行動目標:検電しない限り触らない
指差呼称:検電器、動作確認、ヨシ
例10:低圧の結線作業
潜む危険:同じ盤内に別系統が生きていて、そこに触れると感電する/工具が充電部に触れて短絡し、アークで火傷する/狭い盤内で無理な体勢になる
重点項目:同一盤内の別系統への接触
対策:生きている系統を絶縁シートで隔離する。絶縁被覆のある工具を使う。作業前に盤内の系統を全員で確認する
行動目標:触る前に、その盤の生きている系統を言う
指差呼称:隔離、絶縁シート、ヨシ
例11:仮設からの切り替え
潜む危険:切り替え時に他職の機械が急停止し、二次災害が起きる/仮設と本設が同時に生きる時間帯ができる/連絡が行き渡らず、作業中の人がいる
重点項目:周知不足による二次災害
対策:切替時刻を前日に全職へ周知する。当日は作業を止めてから切り替える。切替後に各所を巡回して確認する
行動目標:全員が止まってから切り替える
指差呼称:周知、全職、ヨシ
KY活動表(危険予知活動表・4ラウンド法)
朝のKYで、危険のポイント・重点・対策・行動目標を1枚に書くためのKY活動表です。例文図書館の例文をコピーして、そのまま貼り付けて使えます。登録不要です。
Excelを見る・ダウンロード電気工事のKY例文【受電・試験・撤去】
例12:受電後の試験(充電中)
潜む危険:充電中の場所に他職が入ってくる/試験のために一時的に扉を開けるので、接触の危険が生まれる/測定器のリード線が充電部に接触する
重点項目:充電中の区画への立入り
対策:区画を立入禁止にし、表示と監視者を置く。扉を開ける時間を最小にする。リード線は測定前に絶縁状態を確認する
行動目標:開けている間は監視者が離れない
指差呼称:立入禁止、表示、ヨシ
例13:照明器具の取付け
潜む危険:器具が重く両手がふさがるので、バランスを崩す/取付け途中で手を離すと落下する/電源が来ている状態で結線すると感電する
重点項目:器具の落下と、上を向いた状態での墜落
対策:器具は2人で持ち、仮吊りしてから結線する。ブレーカーを切り、検電してから結線する。作業台の手すりは外さない
行動目標:仮吊りしてから手を離す
指差呼称:仮吊り、ヨシ
例14:仮設電気の撤去
潜む危険:撤去する系統がまだ使われていて、他職の作業が止まる/切り離す前に電源が生きていて感電する/ケーブルを引くときに、上部の固定が外れて落ちてくる
重点項目:生きている系統の誤撤去
対策:撤去する系統を1本ずつ検電してから切り離す。撤去予定を前日に周知する。上部の固定を先に外し、投げ落とさない
行動目標:1本ずつ検電してから切る
指差呼称:検電、無電圧、ヨシ
例15:1人作業になる日
潜む危険:1人なので、感電しても発見が遅れる/脚立から落ちても誰も気づかない/急いで終わらせようとして手順を飛ばす
重点項目:1人作業での発見の遅れ
対策:作業開始と終了を必ず連絡する。充電部に触れる作業は1人で行わない。終了予定時刻を決め、過ぎたら連絡が入る形にする
行動目標:充電部の作業は1人でやらない
指差呼称:連絡、開始、ヨシ
「停電したつもり」が起きる流れ
電気工事の感電災害で繰り返し出てくるのが、停電したと思っていたが実は生きていたという形です。起きる流れは決まっています。
| 段階 | 起きること |
|---|---|
| 1 | 別の人が開閉器を切った、と聞いた |
| 2 | 自分では検電していない |
| 3 | 同じ盤の別系統、または別の経路から電気が来ていた |
| 4 | 触れて感電する |
この流れを止められる場所は、2の検電だけです。1は伝聞、3は図面と現物のずれで起きるので、現場で防ぎきれません。だからKYの行動目標は「検電しない限り触らない」という形が最も効きます。
指差呼称も、「停電、ヨシ」ではなく「検電器、動作確認、ヨシ」にすると、検電器そのものが壊れている場合も拾えます。
よくある質問
電気工事のKYでも、危険は3〜5項目でよいですか
はい。中身のある3項目のほうが、薄い5項目より役に立ちます。ただし、感電と墜落は条件が違うので、その日の作業にどちらも含まれる場合は両方から1つずつ挙げておくと漏れません。
活線作業をすることになりました。KYで何を決めますか
まず、活線でなければできない作業なのかを確認するのが先です。停電できるなら停電します。やむを得ず活線で行う場合は、絶縁用保護具・絶縁用防具の使用と、作業指揮者、立入禁止の範囲を決めます。要求される内容は法令で定められているため、事前に確認してください。
検電器はいつ動作確認しますか
使う直前です。充電部で反応することを確認してから、無電圧を確認するという順番にすると、検電器の故障を拾えます。現場によっては検電器チェッカーを用意しています。
脚立での作業が多く、KYが毎回同じになります
脚立そのものではなく、その日の作業姿勢と場所を書くと変わります。上向きか、狭所か、片手がふさがるか、下に他職がいるか。条件が違えば危険の出方も違います。
1人作業を避けられない場合はどうしますか
充電部に触れる作業は1人で行わない、という線を先に引くのが現実的です。そのうえで、開始と終了の連絡、終了予定時刻の設定、定時連絡のいずれかを入れておくと、発見の遅れを短くできます。
まとめ
電気工事のKY活動は、感電と墜落の2本立てで考えると整理できます。感電は見えないので、KYの行動目標を「検電しない限り触らない」という形にしておくのが最も効きます。指差呼称を「検電器、動作確認、ヨシ」にすると、検電器の故障まで拾えます。
15の例文は下敷きです。電気工事は作業場所が日ごとに変わるため、作業内容の欄に「どこで・どの系統で」を書くことが、他の工種以上に効きます。対策の欄に「誰が・いつまでに」を足せば、朝の時点で分担が決まります。
KY活動表(危険予知活動表・4ラウンド法)
朝のKYで、危険のポイント・重点・対策・行動目標を1枚に書くためのKY活動表です。例文図書館の例文をコピーして、そのまま貼り付けて使えます。登録不要です。
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